駐車場の枠線
先日、ゲストハウス藤原邸の原っぱの駐車場の混雑問題の解消方法について、ワトソン君は必要なしという記事を書きました。
自分たちの車の停め方で見本を示すというメッセージで、利用者に駐車場の停め方を案内するという方法で、無事問題解決しました。
その後、更なる利便性を追求し、というか観念し、restaurant 淳のオーナーシェフといっしょに、駐車場にトラロープを張りました。
これで、見本を示さなくても、車の停め方の案内ができるようになりました。
そして、なんの問題もなく利用者に車を停めてもらっています。
でも、そこである疑問がわきました。
なぜ、駐車場に枠線があるだけで、利用者はその中に車を停めるのだろうか?
原っぱにトラロープが引っ張ってあるだけ、なんの説明もしていないのに、利用者が自ら枠線の中に車を停めてくれるのです。
枠線があるとその中に車を停める
桂川イオンモールなど大きなショッピングセンターに行くと、大きな駐車場があります。広いスペースにたくさん枠線が引いてあり、利用者はその枠線の中に車を停めて、買い物に行きます。
誰も指示していないし、なんの説明もないのに、利用者のすべてが枠線の中に車を停めて、降りていきます。
当たり前の風景です。
なぜ、利用者は枠線の中に車を停めるのでしょか?
モール駐車場のイメージ
デザイン
デザインという言葉にはいろいろな意味があります。デザイン=見た目、意匠と思われることが多いと思いますが、それだけはありません。
エフラボが、お気に入りのデザインという言葉の解釈は、デザイン=問題解決というのがあります。
つまりデザインとは、ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現することと解される。
wikipedeaより抜粋
駐車場の枠線の意味
駐車場の枠線は、スペースを有効に活かし、一台でも多く、整理して車を停めてもらうためにはどうしたらいいのかという問題を解決するために、設計された意匠だということができます。
でも、枠線があるだけで、なぜ利用者がその中に車を停めるのかいう疑問はまだ残ります。
まだ何かが足りません。
ルール
「枠線には、この中に車を停めましょう」というメッセージが込められています。
ルールです。
このルールが無ければ、駐車場に入ったからといって、利用者は枠の中に車を停めないでしょう。
枠線という意匠とルール
駐車場の場合、枠線と、その中に車を停めるというルールが結びついています。
駐車場らしきスペースに枠があれば、その中に車を停める。
意匠があって、それにルールが加わわり、そのメッセージを知ってもらうことで、初めて駐車場の枠線は機能するのです。
誰が最初に思いついたのかはわかりませんが、駐車場に枠線があればその中に車を停めるというこは、完全に社会に浸透しています。
当初、駐車場の枠線とルールが定着するまでに多少時間がかかったと思います。
でも、今となっては、この枠線という意匠とルールは、観察と学習により自然と理解し、利用者の潜在意識下に完全に落とし込まれています。
駐車場にある枠線を見て、その中に車を停める意外の選択肢は頭の中に浮かびません。
利用者は、駐車場で枠線を見ただけで、特に考えることもなく、無意識に行動しているのです。
それが、ただの原っぱの駐車場にトラロープで枠を引っ張るだけでも、誰もがスムーズに車を並べ、停めてくれる理由です。
良いデザイン
駐車場利用者には、混乱や不安を感じさせず、時間の無駄を無くし、考えさせさえせず無意識に車を停めるさせる。
駐車場管理者は、枠さえ引いておけば、土地が有効活用でき、いちいち手間をかけず、説明もいらずに、車を並べて停めてもらえる。
利用者にも、管理者にもいいことだらけです。
問題を解決するために、枠線を描き、それを機能させるためのルールを結び付けた。
枠線とルールという組み合わせは、まさにデザイン=問題解決と言えるものだ思います。
混乱を防ぎ、人の労力を減らし、社会のために役立つっている。
駐車場の枠線。
あなどれないです。
ただあるだけではなく、考えられ、意味があったことに気づきました。
駐車場の枠線、世の中の人のために、めちゃめちゃ働いてます。
すげーっす。
そんなデザイン、作ってみたいものです。